定価1,980円(本体1,800円)
発売日2026年8月27日
ISBN978-4-7917-1502-2
治安、それは誰のためなのか
いわゆる「体感治安」を根拠とした排外主義の蔓延、スパイ防止法や緊急事態条項など体制維持・強化をめぐる議論の加速……そこに潜む抑圧の危険とは何か。排除の論理を超えて多様な人々の生存を保障する真に安全な社会はいかにして可能なのか。治安維持法施行100年の節目を過ぎた今、権力のロジックとしての「治安」を多様な視点から批判的に読み解く。

[目次]
特集*「治安」は誰のためか
【討議】
「法の暴力」に対峙する――日独の歴史的経験から / 石田勇治+荻野富士夫
【いま何が起きているのか】
高市政権の「大胆な政策」と人権――国旗損壊罪とスパイ防止法 / 市川正人
日本の「安全保障化」・「軍事化」・「治安国家」化と憲法――戦争は専ら「外」からやってくるのか? / 河上暁弘
【ロジックを解剖する】
セキュリティという統治テクノロジー / 重田園江
現代社会にパノプティコン論をどのように位置づけるべきか――監視の諸形態をめぐる理論的考察 / 萩原優騎
設計された「不安」?――プラットフォームと情動の政治学 / 川村覚文
【美名のもとの排除】
誰が誰を守り、誰を排除するのか――第二次トランプ政権の移民法執行と連邦制 / 梅川葉菜
女性の「安全」を「保護」するという暴力――アメリカ史における法執行・超法規的暴力とジェンダー / 兼子歩
「女性スペース」と反ジェンダー運動――「安全」をめぐる言説の罠 / 三成美保
【対抗の道筋をさぐる】
それは「治安」の問題ではない――二〇二〇年代の日本における外国人の「悪魔化」をめぐって / 明戸隆浩
「治安問題」をともに解きほぐす――「外国人」をめぐる不安と摩擦を契機とする地域自治の更新 / 上野貴彦
場所に押されたスティグマ――「治安が悪い」を試練にかける / 川野英二
【「別の仕方」への想像力】
孤独・孤立と犯罪をめぐる言説分析――社会システムへの「包摂」を問い直す / 梅田直美
「若者支援」と都市空間の政治――安全な場をめぐる支援・治安・統制 / 岡部茜
「治安」と風営法――クラブカルチャーからみる規制の論理 / 太田健二
【ふたたび歴史への遡行】
仁愛・保護の治安思想――治安維持法・思想犯保護観察法の思想史的検討 / 林尚之
戦間期日本の警察は自警団にどのように関わったか――東京の事例を中心に / 宮地忠彦
【連載●社会は生きている●第四九回】
社会の制御 12――個人のゆくえ / 山下祐介
【連載●京都〈移民〉紀行●第一八回】
更新されるよそ者たちのニュータウン――向島をつくる国内外移住者たち / 森千香子
【連載●東京学派と革命●第四回】
自己を革命的に否定する――『世界の共同主観的存在構造』 / 山口尚
【連載●家族と憲法●第一五回】
戸籍法の思想――紙の節約 / 木村草太
【研究手帖】
人口問題のこれから / 山田唐波里