定価2,970円(本体2,700円)
発売日2026年10月26日
ISBN978-4-7917-7794-5
いま目の前にあるこの自然と生きること、その先に
ジュゴンのいる海を守ろうとする人、海を訪れた人に貝を手渡す人、傷ついた森を歩き生き物の声を聴き続ける人、電気もガスも使わない空間を生み出す人。沖縄の自然とともに生きる人びとの営みに宿る脱支配の思想を描き出す、現実変革のためのエスノグラフィー。

はじめに
第Ⅰ部 アナキズムとヤンバル
第1章 アナキズム人類学とはなにか?
1 調和を創造するアナキズム――「破壊の神話」に抗して
2 アナキズム人類学
3 命のアナキズムへ
4 線のアナキズム
第2章 ヤンバルの海と森と米軍基地
1 沖縄の社会運動と生存思想
2 命の民主主義とその動物論的転回
3 米軍基地と反対運動
第Ⅱ部 命の現場から
第3章 ジュゴンと生きる、ジュゴンを生きる――シンボルから主体へ
1 「不在」の生き物と共に生きる――人と動物の人類学
2 「まれびと」の再来、ジュゴン
3 ジュゴンに会わない
4 ジュゴンがもたらす平和
第4章 ナミノコガイは黙して語る――貝を手渡す平和運動
1 貝の目になる
2 貝が戻ってくる
3 闘わない社会運動、怒りを突き抜けた〈深さの革命〉
第5章 フタオチョウのように舞う――ある昆虫学者の直接行動
1 昆虫救助隊アキノ隊員
2 虫たちに森を還す
3 蝶たちのアナキズム
第6章 ジンブンとユイムンで繋がる――今ここからの基地廃絶
1 オフグリッドの暮らし
2 海と山を丸ごと守る
3 生の魅力と〈命のアナキズム〉
第7章 アナキズム指南書――蟻の一穴から未来を構想する
1 アナキズム宣言――現実変革の人類学
2 脱支配へのダイレクト・アクション
3 フタオチョウという生き方――アナーキーな力と生の交差性
4 〈傷つきやすさと優しさのアナキズム〉――現実変革の力を醸成するために
第Ⅲ部 軍事支配と資本主義――二つの支配からの脱出
第8章 命のアナキズム――支配なき未来への躍動
1 〈調和〉を目指すアナキズム―理想的な世界を予示する
2 人と環境との調和を目指す〈命のアナキズム〉
第9章 支配の根っこへ――〈生きられる場所〉の創造とコモンウェルス
1 じんぶん学校――人と自然が〈生きられる場所〉を創る
2 資本主義の〈外部〉を創造する
3 コモンウェルスとしての自然――〈歓びの私有化〉を超えて
4 コモンウェルスの〈先〉へ――〈命のアナキズム〉が目指す世界
おわりに
注
引用文献・資料

[著者]比嘉理麻(ひが・りま)
1978 年生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程単位取得退学。博士(国際政治経済学)。現在、明治大学政治経済学部准教授。専門は文化人類学、沖縄研究。主な著書に、『沖縄の人とブタ――産業社会における人と動物の民族誌』(京都大学学術出版会、2015 年)、『汚穢のリズム――きたなさ・おぞましさの生活考』(左右社、2024年、共著)、『琉球・沖縄から人文学を発信する』(編集工房東洋企画、2025 年、共著)。主な論文に、「動物嫌悪と肉食主義の共生成――いのちと再び出逢い直すために」(『現代思想』50 巻7 号、2022 年)、「これは、政治じゃない――〈生き方〉としての基地反対運動と命の民主主義」(『文化人類学』87 巻1 号、2022年)、「沖縄の基地反対運動と命のアナキズム――軍事化に抗する生き物たちの〈生〉の理論」(『文化人類学』89 巻1 号、2024 年)。